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![]() 作家と作品について: 杉本みゆきは1955年青森県生まれ、現在岩手県盛岡市在住の作家です。杉本の作品には具体的な像が何も描かれていません。それでも作品を目にした多くの人が、そこに瑞々しい風景を見出すことでしょう。 一般に絵画を制作する場合、何も手を付けられていない白い画面は当然のこととして絵画とは認識されていませんし、もちろん色、形、空間などをそこから感じられるものでもないでしょう。しかし杉本は自分が何も手を付けていない白いキ |
ャンバスを、支持体としての物質と解釈せずに「白い空間」として認識します。例えば深く濃い霧に包まれた空間を創造してみましょう。例え真っ白で何も見えないとしても、かすかな音や風、湿度、温度などを感じることができるはずです。「何もないのではなく、何かがある、何かを感じようとする」。私たちにとって「見えない」ということはそういうことではないでしょうか。 正方形の白いキャンバスに向かい、空間を探り、面や線を作ってゆきます。それまでただの白い布だったキャンバスが、杉本の指揮によって奥行きを持ち始め、風景になってゆくのです。中でも重要な役割を担っているのが「クライン・ブルー(フランスの作家イブ・クラインが用いたブルー)」と呼ばれる紺色。粒子が粗く、物質性の強い鮮やかな発色が特徴で、強い存在感を示すこのブルーが、純白の空間に空と水を生み出し、私たちが知っている「世界の基本要素」を成立させています。 |