大きな絵を描くには:
 私たちが美術館などで目にする作品は畳二枚分もあるような非常に大型なものが大半です。そのような大きな絵をいったいどのように描いているのでしょう?
  絵を描くためにはまず、下絵というものが必要になります。たいていの場合画面にいきなり絵を描き始めるということはしないのです。大きな作品を描く場合には、まず同じ構図、比率で小さな試作(習作)品を制作します。試作品を作る中で、様々な要素を整理し、完璧な下絵ができた段階で本番の大きな作品に取りかかるのです。
下絵の短辺と長辺を何等分かにし、画面に線を引いて方眼状にします。同じように本番用の大きな画面も方眼にしておいて位置を確認しながら書き写してゆきます。大きすぎて全体が把握できないような作品でも、この方法で拡大すれば、バランスを崩すことなく完璧な絵が描けるのです。


作家と作品について:
  菅原清は1931年、宮城県気仙沼市生まれ、現在埼玉県在住の作家です。近年菅原は世界遺産である白川郷(岐阜県北西部、合掌造りの民家があることで知られている)を中心に取材を重ね、日本の原風景を描き続けています。
  ここで紹介している作品は群馬県の風景ですが、菅原の作品には冬の風景、雪景色が多く、またそれ以外には雪解けの早春を描いた作品が多く見られます。現在埼玉県で暮らしている菅原ですが、その作品にはこの作家が雪とともに生活する「東北人」であることがにじみ出ているように思われます。
  人間は生まれながらにして祖先が蓄積してきた生活の記憶を遺伝的に引き継いでいると考えられます。そしてそのような記憶は祖先と同じ環境の中で暮らすことによって無意識に覚醒してゆくものです。この作家も東北で生まれ育ったことによって雪景色に対する特別な記憶を受け継いでいるのではないでしょうか。原風景として記憶されている東北の風景、それは違う環境で暮らすようになっても作家の中で生き続け、作品として現れてくるのです。