![]() 作家と作品について-作品との付き合い方-: 荒井俊也は1961年、岩手県水沢市生まれの作家です。岩手大学教育学部特設美術科を卒業後、東京芸術大学の彫刻科大学院を修了し、ブロンズ鋳造による彫刻作品を中心に精力的な制作、発表を行っています。 今日の美術作品、特に現代美術の類いは大型化する傾向にあります。この点に関して「便所に飾れないような大きな作品ではしょうがない」と荒井は語っています。 人間はもともと自分の気に入ったものを所有したいという願望を持っています。そして所有した「もの」との間に独自の関係を築いてゆきます。単なる「もの」は所有した人間の創造力によって色々な意味を与えられ、時間を含み、やがて小さな歴史になります。 ブロンズ作品の耐久性は非常に高く、何千年もその姿を変えることはありません。「3000年後の人々と対話することを楽しみにしている。残るものを作り上げる彫刻家は歴史のねつ造を仕事にしているようなものだ。」と荒井は語っています。美術館や画廊の収蔵庫に眠り、誰とも関係を持てず、固定された歴史の中に埋没するような作品を作りたくない。どこかの誰かに所有され、日々の暮らしを通して何千年と対話を繰り返し、そのつど小さな歴史が生み出されてゆくことを願う。だからこそ便所に飾れる作品、何千年もの耐久性を持つ作品が必要なのです。 2000年後、この作品「歩くサッポロ一番」を目にする未来人はこのインスタントラーメンという現在の意味以外のどのような歴史を想像することでしょう。私たちが2000年前の遺物を見て感じるような悠久の時の積み重なりや人類の歴史を見出すのでしょうか。そんなことを想像してみるとこの作品が未来への壮大な「いたずら」であることがわかります。美術作品は他者との対話を演出する装置として強い力を持っています。それは時空を超えるほどの力なのです。 |
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タイトル・技法などについて この作品はブロンズの鋳造によって制作されています。ブロンズ(bronze)とは青銅のことで、約9割の銅に1割前後のスズを加えた合金で、金属製品や金属彫刻などを作る上で最も基本的な素材の1つです。また鋳造とは金属を溶かし型に流し込んでものを作る方法です。一般的には脱蝋法(ロストワックス)という方法で制作されます。 脱蝋法とは、暖めた蝋を粘土のように使って作品を作り、その作品を耐火石膏で包み、焼成し、脱蝋することで雌型を作り、そこに金属を流し込む方法です。この作品の場合にはインスタントラーメンを直接耐火石膏で包み焼成して雌型を作っています。非常に専門的な技術と経験、さらに専門的な道具を必要とする制作方法ですがこの作家は全て自分でそれをやっています。
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