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作家と作品について: 佐藤一枝は1965年岩手県生まれの作家です。1988年、岩手大学教育学部特別教科(美術・工芸)教員養成課程を卒業、現在は岩手県大船渡市のアトリエを拠点に精力的な活動を行っています。 佐藤の作品には鉱物質の素材が用いられています。金属や石といったそれらの物質は硬質で強い存在感を示します。人が用いる素材としては最も強固な物質の類であり、現在多くの建築物や巨大な構造物に多用され、私たちの住む世界に家、町、など様々な物理的空間を生み出しています。 空間には大きく分けて物質的な境界を持つ物理的空間と心理的空間の二種類があります。心理的空間は必ずしも物質的境界の定義を必要としません。また物理的な境界が常に心理的境界と一致しているとは限りません。例え家の中にいても、私たちは常に周辺をとりまく社会とつながっており、心理的には外の空間に属しています。一方、路上生活者のようにダンボールで囲っただけでも心理的に社会から自分の存在を分離することも可能です。つまり空間を定義するのは意識であって、素材が何であるかということ、あるいは物理的に境界が在るかどうかということではないのです。 佐藤の作品は鉄の棒(フラットバー)を編み込むことで作られています。人間にとっと最も頼りになる堅牢な鉄でできた箱は、非常に頑丈な造りですが、空間を分けるような境界にはなっていません。私たちは佐藤の作品を心理的に「箱」「籠」と見なしていますが、現実には空気も水も、植物も昆虫も自由に出入り可能な、人間だけが認識できる心理的空間なのです。佐藤はそういった曖昧な境界を象徴する作品を制作し、心理的な空間の存在を感じさせようとしています。 |
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