まとめ:

美術作品とは美術家によって表現された何かです。先にお話ししたように「表現」とは「自分自身の存在を自分自身で確認、定義するための行為」なのですが、面白いことに自分自身の存在を突き詰めて考えてゆくと、人類の歴史に興味を抱くことになります。また「そもそも人間とはなんなのか?」というもっと大きな課題にぶつかることにもなります。そういった課題にぶつかると、どうしてもより多くの人類史について勉強しなければならないという気持になります。

「人間とは何か?」実は人類が物心のついたときから考えつづけてきた大きな命題なのです。多くの芸術家がこの命題に向かい多くの解釈を作品として残してきました。美術館にはそういった様々な解釈の例が作品として展示されているのです。美術館に行って何を見、考えれば良いのか。つまり目の前にある作品が何を語っているのか考えるために見れば良いのです。私たちが生きてゆく上で必要な何かが誰かの表現から発見できるかもしれないのです。ぱっと見て解らなそうだからどうでもよい。もっとわかり易いものを!という意見もあるでしょう。しかしなんの努力も必要としない相手と付き合っているだけでは人は成長しませんね。わからない相手だからこそ自分自身に発見をもたらすものなのです。それができないとすれば、本当にちっちゃな人間になってしまいますね。
  自問自答だけでは人は前に進めないもの。だからこそ良い友人や家族、恋人、先生が必要なのです。そしてそういうものを人は「財産」と呼びます。いろんな時代の、いろんな国の、いろんな文化を持った人たちが作り出した作品を見るということは、いろんな価値観と自分自身の価値観を照らし合わせてみること。「今自分がここにいる」ということは「長い歴史と無限の未来が向き合っている点に立っている」ということにほかなりません。未来を作り出すのは今の自分。その手助けをしてくれる場所の1つが美術館なのです。そんな場所を利用しなかったら、とってももったいないですね。

まずはいろんな人のいろんな考えが面白いかもしれないという期待感を持つことが大切です。自分を開いてゆかなければ世の中は自分を受け入れてはくれません。作品を開くことができるかどうかは見る人次第なのです。作品と見る人を繋ぐ場所、つまり時空間を超えて人類の英知を繋ぐ場所が美術館。そして、仲介をしているのが学芸員。美術館には学芸員がいます。解らないことはなんでも質問して、いろんな話をしてみれば良いでしょう。